電車について  In the Train


電車の中でこまるのは座席で隣人にもたれかかられることである。
恰幅のいいおじさんであったとしても、頭を載せるくらいならああこの人は疲れているのだなと思うことはできるが、完全にもたれかかられるのはしんどい。

そして・・・ビクッである。
なぜあんなに急に目覚めるのかはわからないが、あれには驚く。
完全に密着しているのだから、相当ビクッが伝わる。ワッと声も出したいとこだが、出したが最後、周りの完全にこの人変だ・・・のまなざしが待っている。
当の本人は眠りから覚めるだけでいいが、こっちには、はた迷惑もいいとこである。

もたれかかるといえば、小学校の時を思い出してしまう。社会科見学で東京かなんかに行った時である。
バスの座席で僕は不運にも小学生にして相当な皮肉(ただの悪口)をいいさらに、いつも鼻くそをほじっているとされ、周りから不評をかっている女の子の隣になってしまった。
もちろん、今よりもさらにナイーブであった僕は大嫌いだったわけであるが、なんとその子が眠ってもたれかかってきたのである。
なんとあっても絶対に頭をもたれさせたくない。そこで僕は体を通路側にすっとずらした。すると、さらにその女の子の頭は僕に迫ってくる。さらに、僕は体を通路側に寄せた。
そんな小さな小競り合いを繰り返しているうちに、気がつけば、僕は席の肘もたれかけにしがみつくようになっていて、僕に向かっていたはずの女の子の頭が座席の床にもたれかかっていた。
そんな風に書くとただ横になっていたんじゃないかと思われそうだがそれは違う。
秋の稲穂なんて感じではない。テニスのヘッド社のロゴのようだった。図にすると↷だ。
その当時はこいつは一体なんなんだ・・・ぐらいに思っていたがそんな無理な体勢をさせている僕は薄情とういうか相当ひどいやつである。
しかし、その当時は必死だったのだ。

そして、今にして思う。

その女の子はかならず途中で起きていたと。途中からは向こうもむきになっていたに違いはないのだ。