詩、ボリューム又はリズム
私は、実家暮らしである。
学校から結構遠いのでどうしても帰るのは遅くなり、帰ったら家族が寝ていることは
しょっちゅうである。
そして家族が寝ていることもかまいなく、普通の音量でテレビを見、ひどいときには大声で笑っている。
助かったことにうちの家族は眠りが深いのか、そんなに文句を言われることはないのである。(翌朝、たまにいわれますが)
先日、そんな家族から寝室からおきてテレビで眠れないと言われた。
今までそういうことのなくはなかったけれども、それまでの時はこれはうるさいかなという自覚があったのでその予想はついた。
しかしその時は、ボリュームも小さいし、うるさいことは何もないと思っていたので、とてもびっくりしたのである。
そのとき見ていたのは、詩人中原中也の特集でちょうど「よごれちまった悲しみに」などの詩を朗読しているところであった。
これはどういうことなのか?
間違いなく、それまでのようにヴォリュームでうるさいとなったわけではない。
それは、詩の朗読の音声の部分で響くところがあったと考えられる。
では、音声の響く部分とは何か。 それは、リズム、メロディーだ。
そのリズムが心のさわりのようなものを揺さぶったからではないのか?
それは考えてみれば、音楽を聴く喜びと近いものであるようにみえる。
その心のさわりの揺さぶりが、家族の睡眠を妨害したのだろう。
何故か「シンガソングライターの歌詞は現代の詩である」という言葉を思い出した。