生半可な学生、又はパクリの肯定
JRG。 ジャン=リュック=ゴダールの『はなればなれに』という映画の中にこういう文章が黒板に映し出されるシーンがある。
MODERN=CLASSIC
なるほどねぇ。
これが、最初に見たときに印象。しかし、映画の後にもっと立ち止まって考えてもよかったのかなと思う。
この言葉を考える際、考えるべきは=についてであろう。
今年の流行語大賞なんて言葉があるくらいなのだから、新しいということはマイナスにとらえられることは少ない。
流行を知っているということは、情報収集能力が高いという意味で尊敬すら浴びる。
古いということは、ずっと変わらない。「あんたはトレンデイーじゃないんだ」なんて言われたら決していい気持はしない。
変化はいいことなのだろうか?
周りの変化に合わせ過ぎないのもあれであるが、変わりすぎるのも意識過剰な気もする。
しかし、その相反するような二つの言葉がイコールで並ぶのはどういうことなんだろう。
イコールは、つまりは置き換え可能である、同じ機能を有するということだ。
MODERNとCLASSICが同じ機能を有するというのはどういうことなのだろう?
ここでようやくgooの辞書で引いてみる。
modern
1 *1現代の, 近ごろの, 今の
2 *2近世の, 近代の. ⇒ANCIENT11, CLASSICAL, MEDIEVAL
3 〈流行・考えなどが〉現代風の, 新しい, 最新の, モダンな(up-to-date);*3〈芸術・文学・音楽などが〉現代的な
classic[形]
1 〈芸術品などが〉第一級の, 最高水準の, きわめて重要な. ▼classicは「一流の, 模範的な, すぐれた」の意に, classicalはギリシャ・ローマの古典(文学・語学・芸術・文化)や作家・思想家に用いる.
2 〈芸術・科学が〉伝統的な, 既成の型に従った.
3 (文学的・歴史的に)名高い, 由緒深い
4 〈方法・事例などが〉規範的な, 典型的な, 標準的な
5 〈服などが〉流行に左右されない;(スタイル・様式などが)簡素な, 洗練された.
6 古典の, 古代ギリシャ・ローマの;古典的な
classicに最高級という意味があるのは知らなかった。しかし、冒頭の文は時間的に見て古い、新しいだけの話ではないように思う。
そう、100年もすればみんな古いんだから。的な話ではない。
ここで「すべての創造は模倣である」の一文を考慮すると何かきっかけになりそうだ。
classicは真似されるもので、modernは真似するもの。そう考えると、なんかイコールがあったかいものに感じられない?
そこにはつながりと流れがあるような気が。それが歴史なのかしら。
なにかを真似するということは、何かそこになにがしかのエモーションを感じたからだ。
オリジナルなど存在しない。あるのはなにかの歴史と自分の位置のみだ。
自分がオリジナルだなんていうのは、その歴史を知らないか、その歴史を知っていて隠ぺいする自己意識の強さの現れである。
classicにこれだけ尊敬の意味が込められているのは、古いからだけではない。
歴史というのが問題で、その歴史に対してどのような対応をするかがその人の表現に多分に影響する。
さて、もしその歴史という物語にどう対するか考えた場合、一つの疑問が浮かぶ。
自分が歴史と思っていることは、他人から見れば全く違うのでは?という疑問が。
恐らく違う。小学校の話を、みんなですればみんな違う記憶を持っているように。
でも、いいじゃん。
他人と同じだろうが、異なろうが。
ただその流れに自分がいるんだっていう気持ちがあれば。
そういえば、最近の流行(トレンド)に歴史という言葉はすごくそぐわない。